
VAIO typeZ
今回テストできたのは、
OCZ製の2.5インチSSDの「Vertex」シリーズ。
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最大の特徴は、
64MBのキャッシュを持っている事と、
最新のコントローラチップを搭載している事。
MLCタイプのSSDでありながら、
Intel製やSamsung製以外の高速と言われるSSDは、
中のコントローラがJMicron製で、
それを2個で内部RAID0にしているものが多かったとされているけれど、
「Vertex」シリーズはIndilinx製というメーカーの
コントローラを搭載した初めてのものになる。
特にJMicron製の一部のファームで動作しているSSDは、
世間ではプチフリ(途中で固まったようになる)現象が多いらしく、
せっかく高速なSSDでも、
このプチフリを味わうとかなり萎え気味になったりしてしまうし、
公称の最高値がいくら速くでも
実際のランダムが遅い場合も多々あったりするので
そのあたりが改善されてるんじゃないかと期待されている。


今回のOCZ製SSD「Vertex」シリーズは容量が4種類で、
それぞれ速度が若干異なる。
OCZSSD2-1VTX30G(30GB)
最大リード: 230MB/s、最大ライト: 135MB/s
OCZSSD2-1VTX60G(60GB)
最大リード: 230MB/s、最大ライト: 135MB/s
OCZSSD2-1VTX120G(120GB)
最大リード: 250MB/s、最大ライト: 180MB/s
OCZSSD2-1VTX250G(250GB)
最大リード: 250MB/s、最大ライト: 160MB/s
今回テストしたのは、
60GBのモデルで、
一番高速な120GBまでの転送速度は持ってないにしても
どれくらいの性能が出るかは非常に気になる。


VAIO typeZ
【CAUTION!注意!】
本体を分解して故障させると、
ソニースタイルの保証、メーカー保証対象外のため
有償修理、もしくは修理不能となる可能性があります。
この記事を読んで同様の事をして、
万が一生じた損害は全て自己責任となり、
当方やメーカーは一切その責を負いません。
分解手順は、以下参照。
・VAIO typeZの本体を分解してみた。(前編)
・VAIO typeZの本体を分解してみた。(後編)
・VAIO typeZに2.5インチSSDを載せる。(その1)
・VAIO typeZに2.5インチSSDを載せる。(その2)
・VAIO typeZに赤いSSD「G-Monster V2」を載せてみる。
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<SSDのベンチマークテスト(改)>
今まで、
「CrystalDiskMark2.2」や「HD Tune」で、
読み込みを主体として、それも規定値ばかりで単純に計測していたけど、
だんだんとそれでは本来のSSDのまともな比較にならない事が発覚。
「CrystalDiskMark2.2」では、
デフォルト値の100MBだけの計測では
作者さんいわく低速なUSBメモリーを想定されているものらしく
SSDのように高速で容量の大きいものの場合は、
500MB以上が妥当だという事なので、
今回から1000MBも計測。
フリーの「HD Tune 2.55」では、
単純なリードしか計測できないので、
自腹で「HD Tune Pro 3.50」のシェアウェアを購入。
先人にならい、
64KB、512KB、8MBの3つのサイズで読み込みと書き込みを計測。
一番顕著にSSDの性能が見てとれるランダム数値も詳しく計測できる。
(注:書き込み数値はパーティションが開放できたもののみ。)
★ベンチマークの参考にしたサイトは、PC Watchのここ。
今回テストできたSSDは
友人やらの力を借りて以下のとおり。
・Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)
(最大リード: 不明、 最大ライト: 不明)
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」
(最大リード: 230MB/s、最大ライト: 135MB/s)
・PhotoFast製「G-Monster V2」
(最大リード: 230MB/s、最大ライト: 160MB/s)
・Intel製「X25-M」
(最大リード: 250MB/s、最大ライト: 70MB/s)
全てtypeZに搭載した状態で計測。
Samsung製「MCBQE64GFMPP」が
VAIOオーナーメードでSSD RAID 0を選択した規定のモデル。
他は2.5インチHDDから各SSDへと換装したもの。
またOSは、
上2つがWindows Vista、
Intel製「X25-M」のみWindows XP。
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●CrystalDiskMark2.2
・Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)


『100MB』 『1000MB』
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」


『100MB』 『1000MB』
・PhotoFast製「G-Monster V2」


『100MB』 『1000MB』
・Intel製「X25-M」


『100MB』 『1000MB』
読み込み速度では、
「X25-M」、「G-Monster V2」という順に続くけれど
この数値を見る限り、
シーケンシャルもランダムもどれも大きくは変わらない。
というかどれも高速。
書き込みは状況が変わる。
VAIOオーナーメードの「MCBQE64GFMPP」は、
さすがにRAID 0構成になっている事も手伝って
安定して高速。
「OCZSSD2-1VTX60G」は、
公称値(135MB/s)よりも思ったほどの
書き込み速度が出ていないように見えるけれど
ランダム4Kがしっかりと速度が出ている事に注目。
「G-Monster V2」は、
シーケンシャルは非常に高速だけど、
ランダム512K、4Kになると極端に速度が低下する傾向にある。
「X25-M」は、
書き込みのシーケンシャルとランダムがブレない、
というか4Kの値が超高速。
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●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)
・Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)


『Read 64K』 『Read 512K』


『Read 8MB』 『Random Access Read』
読み込みベンチマークでは、
一部で伸びる挙動を示したものの
比較的どのエリアでも安定したグラフ。
平均値がほぼこのSSD RAID 0の速度として見て取れる。
ランダムテストでは、
サイズ毎の数値では突出した成果は上げられていないように見えるけれど
Randomの値は、他SSDとは全く引けをとらない。
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」


『Read 64K』 『Read 512K』


『Read 8MB』 『Random Access Read』
読み込みベンチマークでは
どのブロックサイズでも波を打つようなグラフになるも、
最低でも約130MB/sくらいをキープしつつ、
最高で約230MB/sを出す。
平均すると約190〜200MB/sの読み込み速度が見込める。
ランダムテストでは、
「X25-M」を除けば、小さな値(512byte、4k)が一番速い。
Randomの値はそうでもないけど他SSDとの差は微量。
・PhotoFast製「G-Monster V2」


『Read 64K』 『Read 512K』


『Read 8MB』 『Random Access Read』
読み込みベンチマークでは
ところどころでガクっと落ちるグラフだけど
そこまでたくさんの波ではなくて
ブロックサイズが大きくなるとその傾向が減る。
最低速度は約103MB/sになるものの最高で約220MB/sまで上がる。
平均すると約150〜200MB/sの読み込み速度となる。
ランダムテストは、
「MCBQE64GFMPP」x2とほぼ同等。
・Intel製「X25-M」


『Read 64K』 『Random Access Read』
Windows XPベースなので一概に比べにくく、
しかも64Kブロックしか計測できず。
一番続度が出にくい64kでも
比較的安定したグラフで、
なおかつ平均値で約190MB/sに迫る数値を出す。
ランダムテストは4つのSSDのうち突出して速い。
ただ、心配なのは
最近言われている長期にわたって使用すると
突如として読み込み速度が落ちる現象が気にかかる。
今回のテストしたものではそれは今のところないようだった。
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●HD Tune Pro 3.50(書き込みテスト)
書き込み、それもランダムが一番重要だとわかってきたので、
4つともテストしたいのは山々だけど、
パーティションを開放しないと
書き込みテストは出来ないので、
OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」と
PhotoFast製「G-Monster V2」のみテスト。
これは、VAIO typeZ
VAIO typeR masterに装着後測定したもの。
あくまでもSSDの書き込み速度の参考値として。
それでも
非常に興味深い事が判明した。
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」


『Write 64K』 『Write 512K』


『Write 8MB』 『Random Access Write』
・PhotoFast製「G-Monster V2」


『Write 64K』 『Write 512K』


『Write 8MB』 『Random Access Write』
書き込みベンチマークでは
グラフを見てもわかるとおり、
「OCZSSD2-1VTX60G」は、
どのブロックサイズでも波を打つようなグラフになるも、
約44〜62MB/sあたりを推移して周期的に
約130MB/sくらいまでの最高値をだしている様子がわかる。
実際平均すると約58〜74MB/sの書き込み速度というのがわかる。
一方、
「G-Monster V2」は常に上下した激しいグラフで、
最高値では確かに約150MB/sくらいは出ているけれど、
最低値では数MB/sにまで落ちる勢いで、
平均値の意味があまりない気が・・・
それぞれ、
この先端部分を最高値としてるのだろうけど
実際にはこういった挙動をするので、
一瞬の値では、体感の受け止め方が随分と変わってきてしまうのだろう。
ランダムテストでは、
比較対象が「G-Monster V2」しかないけれど、これはもう歴然で
「OCZSSD2-1VTX60G」ではきちんとした数値が出ているのに対して
「G-Monster V2」はかなりというか恐ろしく低い値になる。
たまたまかと思って
何度計測してみたけど、結果は同じだった。
ここのサイトでも
内部RAID 0している「OCZ Apex」が全く同じ結果なので
たぶん正しい結果だと思われる。
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●PCMark Vantage(HDD Suite)
最後に、「PCMark Vantage」で、
ストレージテストとなる「HDD Suite」を実行して
実用レベルに近いテスト内容を知る。
「PCMark Vantage」は、
Windows Vistaでしか動作しないので、
テストしたのは、
・Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」
・PhotoFast製「G-Monster V2」
の3つ。
・Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)


HDD Test Suite: 15661.0
・OCZ製「OCZSSD2-1VTX60G」


HDD Test Suite: 21359.0
・PhotoFast製「G-Monster V2」


HDD Test Suite: 11536.0
「MCBQE64GFMPP」x2は、
アプリケーションローディングが最速。
それ以外は突出もしていなければ特に低い数値もなく
3つのSSDの中での平均値といった感じ。
「OCZSSD2-1VTX60G」は、
Windows Vistaのスタートアップや
マルチメディア系のテストが非常に高速。
特に低速なものは見当たらない。
「G-Monster V2」では、
画像取り込みが最速を誇るも、
Windows Vistaのスタートアップや
マルチメディア系、アプリケーションローディングが遅め。
という結果が出た。
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一応、どのベンチマークも
何度か繰り返しての平均した値を抽出したつもりなので、
おそらく大きくはブレていないはず。
どうにもSSDは、
メーカーの言う最大数値というのがあんまりアテにならなくて、
実際にこうやって数値を計ってみて初めてわかったし、
それに、
実際に使ってると、読み込み速度ばかりじゃなくて
やっぱり書き込み速度とランダムの速度も
非常に重要だという事もわかってきた気がする。
「G-Monster V2」も十分高速なんだけど、
OCZの「Vertex」シリーズは、それよりもなかなか優秀なんじゃないかな
という雰囲気が伝わってきた。
それと何だかんだ言っても、VAIOオーナーメードの
Samsung製「MCBQE64GFMPP」x2(RAID 0)はとても安定してるというか。
この記事を書いた直後に新ファームの存在を知ったので、
新ファームに書き換えた状態での記事
・VAIO typeZに最新コントローラのOCZ「Vertex」シリーズを載せてみる。(新ファーム編)
へ続く。
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