2010年03月07日

VAIO Zシリーズの中身が全部変わってパフォーマンスはどこまで上がったのか?

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フルモデルチェンジして中身もごっそりと変わったVAIO Zシリーズicon

このモバイルサイズで
どれほどのパフォーマンスを秘めているのかをチェックしてみる。

ひとまずは
スペックを表記。

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」
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OS:Windows7 Ultimate(64bit)
CPU:Core i7-620M
ディスプレイ:13.1型ワイド Full HD 1080 1920×1080ドット Adobe RGB 96%
メモリー:8GB(4GBx2)
ストレージ:クアッドSSD約256GB(64GBx4)
チップセット:インテル HM57 Express
グラフィック:
SPEEDモード・・・NVIDIA GeForce GT 330M GPU
STAMINAモード・・・インテル HD グラフィックス(プロセッサー内蔵)



デバイスマネージャを見ると
ほぼ新Zシリーズの内部構成が把握できる。

 
ストレージに関しては、
クアッドSSD約256GB(64GBx4)の場合、
64GBのSSD2つを1枚の板にしたものを
2つでRAID 0という構成にしたもの。

総容量としては、約238.5GB。
リカバリー領域に15.34GBを割り当ててある。


システムドライブとしては、
223.5GBのうち
約39.5GBをOSやその他のアプリが占有していて、
空き容量としては、約184GBになっている。

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で、これから
新Zがパフォーマンス的にどれくらいパフォーマンスが上がったのかの
ベンチマークテストをするのだけれど、
どれくらいの変化があったのか知るため旧ZのWindows7モデルと比較してみる。

・Windows7となった「VAIO Zシリーズ」最高スペックをベンチマークテスト。

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VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」
OS:Windows 7 Home Premium 64bit
CPU:Core 2 Duo T9900 (3.06 GHz)
メモリー:8GB(DDR3 1066/4GB×2)
SSD: 約512GB(SSD 256GBX2) RAID 0
ディスプレイ:13.1型ワイド(1600x900)クリアソリッド液晶
チップセット:モバイル Intel GM45 Express
グラフィック:
SPEED・・・NVIDIA GeForce 9300M GS(256MB)
STAMINA・・・Intel GMA 4500MHD


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<CPUとグラフィック>

まずは、CPU-ZとGPU-Zを利用しつつ
CPUとグラフィックの細かい性能をチェック。

【CPU】

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」

新ZのCPUは、32ナノメートルプロセスルールの
Core iシリーズ(Arrandale)を採用。

ハイパースレッディングで
4スレッドもの同時処理が可能になっていたり、
単独作業では一つの動作周波数を上げて
高速処理させるターボブーストが可能で
その時々の状況に分けて最良のパフォーマンスが発揮できる。

最上位のCPUが「Core i7-620M (HTテクノロジー対応)」で
動作周波数は2.66 GHzで、
ターボ・ブースト時は最大3.33 GHzとなる。
2次キャッシュは256KB×2で、3次キャッシュが4MB。
TDPは35W。

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」

旧Zでは、45ナノメートルプロセスルールの
Core 2 Duo(Penryn)で、
最上位CPUは、「Core 2 Duo T9900」、
周波数は、3.06GHz、2次キャッシュは6MB。

TDPはこの最上位のみ35Wで、
それ以下のP9000シリーズは25Wだったため
モバイルを前提として考えると
電圧の唯一高いT9900などは敬遠され気味な傾向があった。

それが、
今回の新ZではすべてTDPが35Wになっているけれど
Core iシリーズでは、
CPUにGPUの機能を統合させている上でのTDPではあるので
今までのCore 2 Duoとは少し内部的な事情は違ってくるのかもしれない。


【グラフィック】
VAIO Zシリーズに共通する機能として、
ハイブリッドグラフィクスという2つのグラフィックを切り替える事ができる。

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」

[NVIDIA GeForce GT 330M GPU]
GPU Clock  :575hz
Memory Clock :1066Mhz(128bit)
Shader Clock :1265 MHz

専用のビデオメモリーは1024 MB、
メインメモリーからは8GBを搭載している場合
3582MBの割り当てが可能で最大のグラフィックスメモリは4606MBとなる。

[Intel HD グラフィックス]
GPU Clock  :500Mhz
ビデオメモリー:128MB
プロセッサーに内蔵。

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」

[NVIDIA GeForce 9300M GS]
GPU Clock  :580Mhz
Memory Clock :702Mhz
Shader Clock :1450Mhz
ビデオメモリーは、解像度1600x900を選択すると256MB。

[Intel GMA 4500MHD]
GPU Clock  :475Mhz
ビデオメモリー:64MB
チップセット内蔵のGPU。


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<クアッドSSD RAID 0のパフォーマンス>

まずは体感速度に非常に影響の高い
ストレージだけのパフォーマンスを計測。

●CrystalDiskMark2.2
●CrystalDiskMark3.0(x64 Beta3)

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」

   『100MB』              『1000MB』

   『100MB』              『1000MB』

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」

   『100MB』              『1000MB』

   『100MB』              『1000MB』

旧ZのRAID 0でも
シーケンシャルの最大読み込みスピードは260MB/s、
最大の書き込みスピードも230MB/sというかなり速度で
4Kランダムも十分なほど。

それが新ZのクアッドコアのRAID 0になると
シーケンシャルの最大読み込みスピードは480MB/sを超え、
最大の書き込みスピードも380MB/sという
シリアルATA2の300MB/sの限界を突破!
4Kランダムも底上げされている。


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●HD Tune Pro 3.50(読み込みテスト)

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」

  『Read 64K』            『Read 512K』

  『Read 8MB』            『Random Access Read』

  『File Benchmark』

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」

  『Read 64K』            『Read 512K』

  『Read 8MB』            『Random Access Read』

  『File Benchmark』

HD Tune Proでの読み込みベンチマークでは、
新ZのクアッドSSDは
多少は上下したグラフになるものの安定した速度を維持していて
読み込みの平均値も、64K、512K、8MBで500MB/s以上という
非常に高い位置で推移している。

ファイルベンチマークを見ても
書き込み速度も読み込みに追従して非常に高速。

ランダムアクセスのテストもいたって優秀。


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<PC基本性能ベンチマークテスト>

計測の際には、それぞれに
外部GPUと電源設定が【高パフォーマンス】となった「SPEEDモード」、
チップセット内蔵GPUと電源設定が【省電力】の「STAMINAモード」で
それぞれでベンチマークテストをする。


●Windows エクスペリエンス インデックス
Windows 7の「パフォーマンスの評価」


VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]

プロセッサ:6.9
メモリ:6.9
グラフィックス:6.3         (4.4)
ゲーム用グラフィックス:6.3   (5.1)
プライマリハードディスク:7.9
(カッコ内はSTAMINAモード時)

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]

プロセッサ:6.6
メモリ:6.6
グラフィックス:4.3         (4.1)
ゲーム用グラフィックス:5.5   (3.4)
プライマリハードディスク:7.8
(カッコ内はSTAMINAモード時)

「Windows エクスペリエンス インデックス」を見る限りでは、
CPUの評価は、Core i7-620M(2.66 GHz)が6.9、
Core2Duo T9900 (3.02GHz)が6.6と、
表記されている動作周波数だけでは判断できないように
Coreiシリーズのパフォーマンスの上昇がみてとれる。

プライマリハードディスク評価は、
クアッドSSDでついに最高評価の7.9で頭打ちした。

そして特筆すべきはグラフィック評価で
内蔵GPUでも4.1、5.1とWindows7上で一般的な作業をするには
「STAMINAモード」でも十分に使い物になるし、
かつ「SPEEDモード」の6.3、6.3という数値は
モバイルノートでは異例の高さとも言える。

                              
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●CrystalMark 2004R2
CPUやメモリー、HDD、グラフィック
のパフォーマンスを計測できるベンチマークソフト。

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]


VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]


[ALU]や[FPU]といったCPU評価は
Core i7-620M(2.66 GHz)の演算能力の高さが如実に出ている。

[HDD]評価は
クアッドSSDのRAID 0が今までのデュアルSSDRAID 0の1.3倍。

逆に、
[GDI]や[D2D]、[OGL]といったグラフィックス評価内容では
あまり差がないという結果だった。
           
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●CINEBENCH R10
主にCPUの演算能力と、グラフィック性能を
計測するベンチマークソフト。

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]


VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]


CPUの性能を純粋に知れるソフトで、
レンダリング処理をシングルコアと複数コアそれぞれで評価。

Core i7-620M(2.66 GHz)は、
シングルコアで動作していても
ターボブーストでシングルコアの動作周波数を上げて
高速処理しているので、
Core2Duo T9900 (3.02GHz)よりも高スコア。

マルチコアテストでは
ハイパースレッディングで
同時に4つのレンダリングを行うために非常に効率がよく
処理能力が高くこれもさらにスコアが高い。


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●PCMark Vantage Advanced Edition
CPU、メモリ、HDD、グラフィックスなどの性能を計測する
futuremarkの統合ベンチマークソフトの最新版。
より実用的なベンチマークを細かくチェック。
64bitに対応。

VAIO Zシリーズ「VPCZ11AHJ」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]
 

VAIO Zシリーズ「VGN-Z93JS」
[SPEEDモード]          [STAMINAモード]


テスト項目が細かく
1回の計測にかなりの時間を要するベンチマークソフトで、
さすがに80にもおよぶ詳細データまでは掲載できないけれど
総合スコアの他に、7つの代表項目のスコアを確認。

トータル的なスコアとして見て
旧ZのSPEEDモードを新ZのSTAMINAモードのほうが高くなるほど
根本からはフォーマンスの底上げがされている事がわかる。


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<Windowsの起動と終了、休止と復帰>

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実際のWindowsの起動や終了、
休止から復帰をストップウォッチで計測。

                  左:「VPCZ11AHJ」 右:「VGN-Z93JS」
『Windows 7起動』
画面切り替わり壁紙出現    ・・・約37秒   約39秒 
サイドバーガジェット表示    ・・・約40秒   約45秒
常駐アプリ全表示         ・・・約45秒   約48秒 
IE8に「Yahoo!Japan」を表示 ・・・約50秒   約52秒 

『終了』 ・・・  約18秒   約13秒 
『休止』 ・・・  約20秒   約15秒 
『復帰』 ・・・  約26秒   約29秒 

この2つを比べてみると、
「VPCZ11AHJ」では、
Windowsの起動や復帰動作といった読み込みに依存する部分は
「VGN-Z93JS」よりもさらに時間が短縮されているように思える。

けれど、書き込みに依存する終了や休止では、
「VGN-Z93JS」には及んでいなかった。

とはいえ
どちらも相当高速な中での比較なので
両者にその体感速度的な差を感じるというほどではない。

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今回は基本的なPC性能に焦点をおいたベンチマークだったけれど、
次は、モバイルでどこまでゲーム性能を持てるのか?
3D系のベンチマークをテストしてみたい。


Twitterで何かをつぶやき中。ID:kunkoku

【VAIO typeZ特集ページ】

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この記事へのコメント
参考になります。
でもGPU-Zの値とそのしたのテキストの数値違いますよ。
VAIO Zではクロックダウンされていますので規定値はでていません。

それぞれの金額も表示してほしかったですが総じて前Zを超えて
いますね。

安心しました。
Posted by ls at 2010年03月07日 17:08
>lsさん
ご指摘ありがとうございますm(__)m
おっしゃるとおり数値は違いますよね。
これはどっちを書くべきか悩んでしまいまして、キャプ画像はもちろん新Zからとりましたが、数値は一般のスペックのもの(最大値)を記載しておりました。
紛らわしいのでこれはどちらも表記するのが正しいですよね。

それと金額の件もしかりですが、私もまだまだ皆さんの必要とする情報をしっかりと把握できてない証拠ですね。

まだまだ修行が足りないようで本当に申し訳ないですが、
おっしゃっていただいてそれに気づく事ができました。
本当にありがとうございますm(__)m

修正できるところはぜひ修正させていただきたいと思います。
Posted by kunkoku at 2010年03月08日 01:00
次の3D系のベンチマークの調査の時に、
nVidiaのリアルタイムレイトレーシングエンジンOptiX
が使えるかどうか、試験してもらえませんか?

http://developer.nvidia.com/object/optix-home.html

OptiX 2 Betaの方のサンプルが動くかどうかを見てもらえるとうれしいです。
Posted by dot at 2010年03月08日 08:45
>dotさん
遅くなりましたが了解ですw
えっと、お知らせいただいたサイトに飛んだんですが、OptiX 2 Betaのサンプルがどこにあるか見つけきれませんでした(汗
どちらかもう少し詳しくお知らせいただけると幸いですm(__)m
Posted by kunkoku at 2010年03月10日 00:33
ありがとうございます。
マニアックなお願いすみません!

http://developer.nvidia.com/object/optix-beta.html
のページから、
一番下のDownload Beta 1 of OptiX 2から進んで行って、
たどり着いた
http://developer.nvidia.com/object/optix-beta-download.html
で、
Windows 64Bit版を選んでexeを実行してインストールしてください。
Posted by dot at 2010年03月13日 02:21
>dotさん
こちらこそお知らせありがとうございます。

ダウンロードして複数あるサンプルを起動しようとしたのですが、
「プロシージャエントリポイントcuGLSetBufferObjectMapFlagsがダイナミックリンクライブラリnvcuda.dllから見つかりませんでした。」というエラーの元に実行できませんでした(汗

すみません、全然要領を得てなくて。。

これはやはり難しいのかな?
もしくは何か改善策があればご教授いただけましたら幸いですm(__)m
Posted by kunkoku at 2010年03月15日 18:34
対応ありがとうございます!&お手数おかけしてすみません。

CUDAのライブラリが入ってないよ、と怒られているようですね。

次のサイト、
http://developer.nvidia.com/object/cuda_2_3_downloads.html
から
CUDA Toolkit 64bit
をダウンロードしてインストールしていただくと、
nvcuda.dllがインストールされると思います。
Posted by dot at 2010年03月15日 21:22